早いもので今年も残すところ後、わずかとなりました。
 
我々も仕事上、この一年間で数えきれないほどのお別れに立ち会ってまいりました。
 
1番多かったお別れは犬ちゃんで、次に多かったのが猫ちゃんとのお別れでした。
 
でも今回、ご紹介させてもらうのは犬ちゃんや猫ちゃんの話ではありません。
 
 
 
一匹のハムスターの話を紹介したいと思います。
 
 
 
そのハムスターがペットショップで鶴見区のある家族と出逢ったのは今から約2年ほど前に遡ります。
 
当時、小学1年生だった一人っ子の息子さんのために両親がプレゼントをしたのです。
 
ハムスターはハムタと名付けられ家族の一員になりました。
 
ハムスターは1日平均体重の15%ほどの水分を補給するのですが、ハムタくんは水が嫌いでほとんど飲まず、変わりにキャベツなどの野菜をよく食べて、その野菜から水分を補給するような少しだけ偏食癖のあるハムスターでした。
 
それだけハムタくんの家の野菜は新鮮だったのかもしれません。
 
ハムスターは体温調整のため、頻繁に毛づくろいをします。また綺麗好きで寝床を便で汚すことを嫌い、ちゃんと場所を決めて行います。
ハムタくんも優しい家族に見守られ、決められた場所で用を足す、お行儀のいい子に成長しました。
 
ご家族もそんなハムタくんを愛し、息子さんは、まるでハムタくんを弟のように可愛がり、ご両親もハムタくんを優しく手で撫でてあげるのが日課となっていました。
 
ハムタくんが家族の一員になってから1年半ほどした頃、お父さんがいつものようにハムタくんの首周りを指を撫でているときにハムタくんの右耳の下にシコリのようなものがあることに気づき、病院に向いました。
 
動物は全身を毛で覆われておるため、シコリのような異物を普段の生活から飼い主さんが発見することは極めて困難であり、実際、犬ちゃんや猫ちゃんの場合、飼い主様より先にトリマーの方によってそのようなシコリを発見することも少なくありません。
 
人間の手によりトリミングを行わないハムスターの場合、体にできたシコリを飼い主様が見つけることは稀なことで、それだけハムタくんとご家族との触れ合いの機会が多かったことの表れだと思います。
 
ハムタくんは検査の結果、悪性のリンパ腫であることが判明しました。
 
ご家族はすぐに除去手術をするように医師に懇願しましたが、医師は「血液性の癌ですし、おそらく転移も始まってるでしょうから除去してもすぐに再発すると思います」
と厳しい現状を伝えました。
家族はやむを得ずハムタくんに医師が薦める抗癌剤治療を施す選択をしました。
 
医師はハムタくんに抗癌剤を含ませた水を飲ませてあげることが家族のしてあげれる唯一の治療だと説明しました。
 
説明を受けた家族は最初、水嫌いのハムタくんが素直に抗癌剤が入った水を飲んでくれるかが心配でした。
 
しかし、ハムタくんはその日から変わったように水を飲むようになったのです。
一生懸命、抗癌剤の入った水を飲むハムタくんの姿を見た家族は「きっとハムタも生きたいんだ」と思い、そんなハムタくんを応援するように皆で出来る限りの在宅治療をする決意をしました。
 
ハムタくんと家族の闘病の日々が始まったのです。
 
 
ハムタくんが発病してから家族は、今まで以上にハムタくんの様態を気遣うようになり、時間さえあれば、ハムタくんの様子を伺うようになりました。
 
そんな家族の思いとは裏腹に腫瘍は日に日に大きくなり首から胸の辺りまで膨らんでいき、ハムタくんの左手は腫瘍に押しつぶされ歩行に障害をきたすようになり、残った3つの手足でフラつきながら抗癌剤の入った水と食料をとりにいくようになってました。
 
さらに腫瘍は膨れあがり右手をも覆い隠し、ハムタくんは毛づくろいも自分でできなくなってしまいました。
この頃、そんなハムタくんを見るのも辛くなったご家族はある決断をします。
 
もう充分頑張った・・・安楽死をさせてあげよう・・・
 
しかし、そのことを医師に相談した結果、「ハムスターに安楽死の前例がない」との理由から、断られてしまい、厳しい結果と重い現実を受け止めることになりました。
 
もはや毛づくろいしようとするだけで転んでしまうハムタくんの姿を見るたびに涙がこぼれましたが、家族は「一番辛いのはハムタなんだ」と目を背けるのではなく、毎日、ハムタくんを湿らせたカーゼで拭いてあげることにしました。
 
 
両手が使えなくなったハムタくんは後ろ足のみで痩せた体と大きく晴れ上がった腫瘍を引きずるように移動し、抗癌剤が含まれた水分の補給を続けていました。
 
その姿を見て家族は思いました・・・
ハムタは「生きたい」というより、「我々家族の為に生きようとしている」のだと・・・
 
 
病気を患った者に時の経過は残酷で腫瘍は頭部から上半身を包むように膨れ上がり、原型をとどめなくなってしまったハムタくんの体は、移動することすらできなくなってしまいました。
 
家族はハムタくんの口元に水と食料を運んであげ、綺麗好きだったハムタくんのために便も日夜問わず、寝床から取り除いてあげました。
 
それでも膨張をやめない腫瘍は呼吸をも妨げるほど大きくなり、家族は呼吸器と保育器を取り寄せ全力でハムタくんの治療と看護を続けました。
 
 
 
そして発病してから半年後・・・
家族の介抱空しく、ハムタくんは息を引き取りました・・・
 
 
実に6ヵ月。人間に換算して20年間以上の壮絶な闘病生活を経て、ハムタくんは永眠したのです。
 
享年2歳一ヶ月。
 
ハムスターの平均寿命は2歳~2歳半なので、ハムタくんは寿命をまっとうしたと言えるでしょう。
 
ハムタくんのお別れの儀は弊社プレシャスコーポレーションが担当し、ハムタくんが一生を過ごした自宅でご家族が見守る中、執り行われました。
 
その席上でもハムタくんのご家族は「できることはした」という思いと「まだしてあげれることがあるのではないのか?」という相違する感情を交差させながら、見送っておられました。
 
それだけご家族にとっても闘いの日々だったのでしょう。
 
 
 
 
でも私は血液性リンパ腫という不治の病におかされながらも、ハムタくんは家族の誠意とその誠意に応えながら、苦痛にも耐え、神様から授かった寿命を一瞬足りとも無駄にすることなく天に召され、 家族の方たちも、そんなハムタくんを見守り、励まし、支えとなって責任をまっとうされたと思います。
 
 
 
 
毎年恒例の行事となってる清水寺での「今年を表す漢字」に「絆」が選ばれました。
 
 
ハムタくんとハムタくんの家族との深い「絆」こそ弊社プレシャスコーポレーションの考えるペットと飼い主様の理想であり願いでもあります。
 
私は、ハムタくんの家族のようにペットを愛し、ペットを家族として一緒に歩んでいかれる人が一人でも多く増えてほしいと思っておると同時に、ハムタくんのように素晴らしい家族と出会えるペットが一匹でも多く増えることを心から願っております。
 
 
 
 
 
 

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