「何かを失う夏の終わり」自分のペットが死ぬということは 最終回
火葬後、友人家族の手によってココのお骨は丁寧にお骨上げされました。
お見送りを無事に終えた友人は寂しさは拭えないまでも、少し穏やかな表情になって「ありがとう・・・」とお礼の言葉を言ってくれたのです。
私は無言でうなずき、お骨壺を骨袋に納めた後、友人に手渡しました。
骨壺を受け取った友人は、もう一度「ありがとう」と言った後「また近いうちにあれ作りにくるから、電話する」と言って遺骨のメモリアルグッズを指差しました。
「わかった。また連絡して」
そう返事した私は、旦那さんと子供にも挨拶をし、駐車場まで家族を見送りました。
そうして友人と家族は帰って行き、私は会館に一人残される形になったのです。
この日、会館のスケジュールはココの葬儀が最後でありました。
私も後片付けをして、帰るだけであったのですが、なぜか、そんな気にもなれず、私は自販機でコーヒーを買った後、セレモニーホールに入ったのです。
ココを喪ったことで一番、つらく、悲しいのは友人と、その家族であるのは間違いありません。
それをわかってた故に、私は感情を出さず葬儀屋として徹したのですが、やはりココの死は私にとっても悲しいものでありました。
ココはもうこの世にはいない・・・
それは葬儀が始まったときも同じだったのですが、なぜか、友人家族が会館を後にしたこのとき、その思いがいっそう強く圧し掛かってきて、私は深く瞼を閉ざしました。
この寂しさ、そして、点火のときに感じた躊躇い・・・・
私は、あらためて自分のペットが亡くなるというのは、こんな気持ちになるんだとなと、長い間、薄れていた感情を思い出したような気持ちになったのです。
そして私は誰もいない祭壇に向かい合掌をしました。
合掌をといた後も寂しさは残り、後片付けをする気にもならなかった私は、明日の朝、早く来て掃除をすることに決め、そのまま消灯し、会館を出たのです。
エアコンのきいた会館からムアっとした残暑が残る外に出ると、一気に体が汗ばむのがわかりました。
普段は不快に感じるこの暑さも、この日の私にとっては有難いことでありました。
もし、このとき、秋風に吹かれたのなら、もっとつらかったように思ったからです。
今年も夏が終わります・・・
毎年、夏の終わりは妙に寂しいものであり、何かを失うような気持ちに私はなるのですが、今年の夏はそれとは別の寂しさを感じることになりました。
今は旅立ったココに何か言葉をかける気持ちにもなっていませんが、少し時間が経てばまた違った気持ちになれるのだろうか・・・
そんなことを考えながら、私は会館を後にしたのです。
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野村圭一
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