二度 殺される

私がTさんと知り合ったのはプレシャスコーポレーションを設立し、ペット葬儀という仕事を開業してすぐの頃でした。

 

まだ、現在の会館も納骨堂もなく、火葬車で訪問に出張火葬のみを実施させてもらっていたのですが、Tさんから電話で火葬についての問い合わせの電話をいただいたのです。

 

当時は自宅でペットの火葬をすること自体が、あまり知られておらず、火葬車がいかなるものかから説明させてもらうことも少なくありませんでした。

 

火葬車というのは、簡単に言えば通常の火葬炉を車に設置しただけのものなのですが、実際に自分の目で見なければイメージがわかないのも事実であり、いったいどんな大きさなのか?本当に煙は出ないのか?等、初めてご依頼されるときは少なからず不安になるものであります。

 

Tさんも、火葬車について一通り質問されたのですが、Tさんが重要視されたのは、火葬車の仕組みよりも、「家で火葬してくださるってことは、最後までずっと一緒に居れるんですよね?」と、立会いができるかどうかということでありました。

 

質問をされるTさんの言葉使いはとても綺麗であったのですが、それとは別に、質問をされた内容から、我々ペット葬儀業界に対する不信感も同時にTさんから感じ取れたのです。

 

最終的にTさんはご依頼してくださることになったのですが、電話だけでは説明も不十分であり、完全に信頼を得るまではいかなかったと、私は思っていました。

 

翌日、Tさんが指定された午後13時に私はTさん宅に向かいました。

 

インターホンを鳴らすとTさんが玄関のドアから出てこられ、Tさんの後ろにお母さんの姿も見えました。

 

笑顔で「どうも」とお言ってくださったお母さんとは対照的に、Tさんは少し緊張されたような面持ちで私の目を見据えたまま「先に車(火葬車)見せてもらっていいですか?」と冷静な口調で言われたのです。

 

「どうぞ。かまいませんよ」

 

そう言って私は車のスライドドアと後部ドアを開けTさんに火葬車を見てもらいました。

 

Tさんは大きく溜め息をつくように「ああ・・・こうなってるんか・・・」と大きくうなずきながら、そう言われたのです。

 

少し遅れてお母さんも外に出てこられ、Tさんの横で火葬車を見られたのですが、お母さんは逆に心配そうな顔になられ「これ・・本当に火葬しても煙とか出ないの?」と質問をされたので、私は簡単に、煙の出ない仕組みを説明しました。

 

説明を聞かれたお母さんは「どっちにしてもここ(自宅)で(火葬)やってくれるんやからそれでいいんと違う」とTさんの顔を除き込むようにして、そう言われ、Tさんも「うん」と短く返事をされたのです。

 

「じゃあ、連れてきますね」

 

Tさんは私にそう告げ、自宅に入っていかれました。

 

Tさんは今回、「それは家族だけでしますので」と葬儀をすることを、予め断っておられたので、ご火葬のみをご依頼されていたのですが、私はこのとき、亡くなったTさんの愛猫ちゃんが、何歳で亡くなったのかも知りませんでした。

 

Tさんが自宅に入られているとき、お母さんが私の所に少し歩み寄りながら声を潜めポツリと「娘は猫をとても大事にしやる子なんですよ」と言われたのです。

 

「そうですか」と私が同じように小さな声で返事をすると、お母さんは「だから、できるだけ丁寧に扱ってやってください」と、そう言いながら深々と頭を下げられました。

 

私は恐縮しながら背筋を伸ばし「はい」と気持ちを込めて返事をしました。

 

お母さんは頭を上げられ「前に別の猫を亡くしたとき、少しひどい扱いされましてね・・・」と遠くを見るような目でそう言われたのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

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