「お見送り」 悲しみの準備・・・3

翌日、Sさんは愛猫のゴンちゃんを手に抱き、Gさんと一緒に歩いて会館に来られました。

Sさんは玄関先で出迎えた私に、小さく挨拶された後、ゴンちゃんを抱いたまま、セレモニーホールに入られ、優しく祭壇に寝かせてあげていました。

 

Sさんの後からホールに入られたGさんは綺麗な花束をご持参しておられたので、私はその花束をGさんから受取り、祭壇に手向けました。

そして、私は線香とロウソクに火を灯し、ゴンちゃんに読教をあげさせてまらったのです。

 

お焼香の義が終わり、出棺までの最後のお別れの時間、SさんとGさんは二人で肩を並べ祭壇のゴンちゃんの安らかな顔を見つめながら、時折、笑顔を交えてゴンちゃんの思い出話をされていました。

当初、私は、何処となく寂しいセレモニーになるのではと、思っていたのですが、愛猫をお見送りされた経験のあるGさんが参列されたことで、Sさんも、終始、穏やかなお気持ちでお見送りをされているようでありました。

 

その後、ゴンちゃんは再びSさんの手に抱かれてご出棺し、Gさんが持参してくださったお花と一緒に火葬炉に納められ、天に召されたのです・・・

点火のとき、Sさんは両手で顔を覆うようにしながら肩を震わせて泣かれましたが、しっかりとした声で「ゴンちゃんありがとね。パパ(亡くなったSさんの旦那さん)のところへ行くんやで」と話しかけるようにしてお見送りをされていました。

その間、Gさんは、涙ぐみながらも、Sさんの体を両手で支えるようにして、Sさんの背中を優しく摩っておられたのですが、本来なら、このようにお見送りをする人のサポートをするのは我々葬儀屋スタッフの役割でもあるので、Gさんのお心遣いは、本当にありがたく感じました。

 

火葬が始まり、SさんはGさんにエスコートされるように待合室の方に移動され、二人でメモリアルグッズの展示コーナーを見学されながら過ごしておられました。

 

火葬が始まって10分ほど経過したときでした。

Gさんが斎場のカーテン越しに顔をだされ「ちょっとすいません」と私に声をかけられたので、私は待合室の方に向かいました。

 

待合室に入ると遺骨のメモリアルグッズの展示コーナーの前でSさんとGさんが遺骨のブレスレットの展示品を手にされていたのですが、Sさんが「これって、すぐに作ってもらえるんですか?すぐに出来るんやったら一つ作ってもらおうかな」と質問をされたので、私は時計を見ながら「はい。もうすぐ職人さんが来られる時間なので、だいたい一つ30分ほどで作れますよ」と返事をしました。

すると、そのとき、Sさんの隣でブレスレットの展示品を見ておられたGさんが少し驚いたような顔で「もしかして、これって骨が入ってるの?」と言われたので「それは見本なんで遺骨は入っていません。遺骨が入ったサンプルはこちらです」と私は遺骨を融合したメインストーンのサンプル品をGさんに見せました。

 

「いや~・・・この白いのが骨?」とGさんが驚いたように言われたので、私はアトリエを指さしながら「はいそうです。あちらのアトリエで作成するんです」と説明をしました。

「そんなん出来るんや・・・私、前に(愛猫ちゃんの葬儀)したとき、こんなんあるって言うてくれへんかったよ」と、不服そうに言われたので、私は「すいません。私共の会社では、セレモニーのとき、あまり、このようなグッズを積極的に案内するようなことはしてないんです。あくまでもご質問があったときにお答えするような感じのスタンスでやらせてもらってるんで」と弁解するようにお伝えしました。

 

しかし、Gさんは、納得いかないように「そうなんですか・・・私もPちゃん(亡くなったGさんの愛猫ちゃんのイニシャル)の骨で作りたかったわ・・・」と言われたのです。

 

するとSさんが「Gさん。Pちゃんのお骨はもう庭に埋めはったん?」と訊ねられ、Gさんは「ううん。まだ家に骨壺のまま置いてあるよ」と返事されたので「そしたら作れるやん」とSさんが言うと、Gさんは「ええ?これって火葬の後すぐ、骨が熱いうちに作らんとあかんのと違うの?」と、私に言われたのです。

 

なぜ、Gさんがそのように思われたのかはわからないのですが、私は補足するように「いえいえ。そうではありません。もちろん、火葬後、すぐに作成される人もいますが、後日、納骨するときに、遺骨の一部をお骨壺から取り出して作成する人もいますよ」と説明をしました。

 

それを聞いたGさんはパっと目を輝かせ「じゃあ、今から骨壺を持って来たら一緒に作ってもらうことも出来るの?」と訊ねられたので「はい。作れますよ」と、私が返事をすると、Gさんは「Sさん、私も作りたいから今から取りに帰ってもいい?」とSさん確認され、Sさんは「取ってき取ってき。一緒に作ろう」と笑顔で言われ、私は二人の会話が終わる前に職人さんに電話をかけ、今からすぐこちらに来てもらうよう伝えたのです。

 

幸い、Gさんも、Sさん同様、会館から歩いて五分ほどの距離に自宅があったので、ゴンちゃんの火葬が終わる前にはお骨壺を手に会館に戻られました。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

 

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