遺骨のメモリアルアクセサリーに込められた ある世界チャンピオンの魂
今から3年前のことであります。
会館に愛猫ちゃんの葬儀に来られたご家族を出迎えた私は、車から降りてきた男性を見て、思わず「あ!」と声を出しそうになりました。
その男性は、プレシャス会館のある大阪の守口市の地元では知らない人がいないほど有名なプロボクシングの元世界チャンピオンだったのです。
私は一瞬、仕事を忘れて一ファンの心境になるのを抑え、気持ちを落ち着けてご家族を会館に案内しました。
元チャンピオンは試合とは別人なような優しい目でセレモニーホールの祭壇を見つめ「へ~こんなん(こんな風に)なってんや」と独り言のように言い、二人の息子さんが、その言葉につられるようにしてホールに入られたのです。
奥さんから猫ちゃんを手渡された私は、そのまま祭壇に寝かせてあげ、ご家族に「この子のお名前は?」と猫ちゃんの名前を訊ねました。
そのとき、奥さんと、二人の息子さんは恥ずかしそうに表情を和らげられたのですが、元チャンピオンは真顔で「大枝公園です」と言われたのです。
私は一瞬、質問を聞き間違えられた思い、「大枝公園?名前がですか?」と聞きかえしたのですが、元チャンピオンはいたって真面目に「そうです」と答えられたのです。
このとき、他の家族は堪え切れず、笑ってしまわれたのですが、特に次男さんは少し顔を赤らめるようにして笑っておられました。
元チャンピオンは家族に「なんで笑うんや」と厳しい口調で言われたのですが、その口元も緩んでいました。
「実は僕、ボクシングしてまして」
元世界チャンピオンがそう言われたので、私は「もちろん存知あげてますよ。Tさん」と、このとき初めてTさんの名前を口にしました。
Tさんは、ペコンと頭を下げ「そんで、今から18年前にロードワークしてんたとき、大枝公園にこいつがおって、後ついてきよったんですわ」と、子供のような表情で言われた後「ついて来たら飼わんとしゃーない(仕方ない)でしょ?そんで、名前何にしょーかなって思ったんですけど、大枝公園におった猫やから名前も大枝公園でエエっか思ってそうしたんですわ」と言われたのです。
「それで・・・大枝公園と・・・」
私は不覚にも可笑しくなってきてしまい、言葉に詰まってしまいました。
それを見たTさんは「ええよええよ^^笑ったって」と関西特有の空気で私を救ってくれたのですが、ご家族も葬儀の緊張感が薄れたように一同笑みを浮かべられたのです。
その後、読経をあげさせてもらい、お焼香の儀の後、Tさん家族は祭壇の大枝公園ちゃんを囲うようにしながら最後のお別れをされていました。
そして奥さんから出棺の意向の声をいただき、大枝公園ちゃんは火葬炉に納められ、私はご家族が合掌で見守る中、点火のスイッチを押させてもらったのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
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野村圭一
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