続 「なぜ、そんなウソをついたのですか?」

その後、Mさんは、優しい表情を浮かべながら、丁寧にフェレットちゃんのお骨をお骨壺に納められたのです。

 

別れ際、Mさんは「いろいろありがとうございました。なんか、みっともない姿見せてもうて・・・」と照れくさそうに言われたので、私は「みっともなくなんかないですよ。立派なことだと思います。」と本心から、そう返事した後「ペットちゃんはこの子(フェレットちゃん)だけなんですか?」と訊ねました。

Mさんは「そうです。ワシは元々、ペットとかあまり好きじゃないんですわ。こいつは女が置いていきよったんで面倒みてただけです」と、真顔に戻り言われました。

 

「そうですか・・・わかりました。では、私はこれで失礼します」と私は車に乗り込んだ後「あ、コーヒーごちそうさまでした」と頭を下げました。

Mさんはスッキリされた表情で「こちらこそ朝早くからスンマセンでした!」と威勢の良い声で見送ってくださったのです。

 

私は帰る車中で(いい人やったな・・・)とMさんの事を思い出していました。

上手く言えませんが、変な意味ではなく、私はMさんのような少しシャイで不器用な人がすきであります。

年上の男性に使う言葉ではありませんが、Mさんは同性の私から見ても、どことなく、憎めない、ヤンチャ少年の面影が残る人でありました。

 

Mさんはもうペットは飼われておられないようですし、元来、ペットは好きではないと仰っていたので、今後、二度とお会いすることがないかもしれない。

その時はそのように思っていました。

 

ところが、その日から二か月ほど経ったある日、会社のフリーダイヤルに「野村さん?二か月くらい前に、朝早くフェレットの火葬をお願いしたMやけど、覚えてはります?」とMさんから電話があったのです。

 

声を聞いてすぐにわかった私は「ああMさん。○○マンションのMさんでしょ?もちろん覚えてますよ^^どうされました?」と訊ねたところ「覚えてくれてはったん?嬉しいわ^^」と言われた後「いや~あの・・・また火葬をお願いしたいんやけど」と言われたのです。

「はい?火葬ですか?はい。わかりました。」と私は返事をしながら(確かペットはもう飼われてないはずやのに・・・)と思いつつ、Mさんに「あの、Mさんペットちゃんの種類は?」と訊ねました。

 

Mさんは「フェレットですわ」と言われたので、私は前回と同様、Mさんが仕事に行かれる前翌早朝5時にMさんのマンションに行くことになったのです。

 

時間通りにMさんのマンション前に着いた私は、携帯電話からMさんに到着を報せました。

電話後、すぐにマンションの玄関前に降りてこられたMさんに挨拶を済ませた私は「Mさん。確か前のフェレットちゃんのときに、他にペットは飼っておられないって言ってませんでした?」と訊ねたところ、Mさんは「うん?・・・いや、こいつも飼ってた・・・」と手に持った箱に納まっているフェレットちゃんを見せてくれたのです。

 

私は自分の聞き違いか、勘違いかと思い「そうですか。この子も元カノさんのペットやったんですか?」と、さらに訊ねると「元カノ?元カノってなに?」と、何のことかと言わんばかりにMさんは私の顔を不思議そうに見ながら言われたので「いや、前のフェレットちゃんの火葬のとき『一緒に住んでいた元カノ彼女さんペットだったんだけど、別れたとき、フェレットちゃんを置いていったんで、その後、面倒を見ることになって、亡くなってしまい、死んだから言うて粗末には出来ないから火葬だけでも責任もってやろうって思うた』みたいなこと言ってはったじゃないですか」と私が確認するように言いました。

しかし、Mさんは「俺、そんなこと言うたっけ?」と首を傾げ後「そう言えば、あの時、そんなウソ言うたな」お道化たように笑われたのです。

笑うMさんに、本気で訳がわからなくなった私は「うそ?・・・・なぜそんなウソをついたんですか?」と、素朴な疑問を訊ねました。

 

Mさんは少しうつむきながら「・・・なんて言うか・・・俺みたいな奴がフェレット飼ってるって言うたらキモイやろ?だから元カノのんやって言うてん」と照れたように笑われたのです。

「キモクないですよ。全然普通ですよ。実際、フェレットの飼い主さんって男の方が多いんですよ」と私が言うと、Mさんは少し顔を赤らめて「そうなん?ふ~ん・・・」と納得したように二、三度うなずいた後「でも大の男がフェレットが死んだから言うて泣いたりするのってアカンことない?」と、さらに聞かれたので「いやいや、男とか女とか年齢も関係ないですって。ペットが死んだら泣くのって普通ですよ。Mさん気にし過ぎですわ」と私は言いました。

「そうやな・・・ありがと」とMさんは言われ「じゃあ、これお願いしますね」と、フェレットちゃんの納まった箱を私に渡されたのです。

 

箱には前回同様、今回もお花が散りばめていて、Mさんの優しさが伝わってきました。

今回、Mさんは、ちゃんと最初から最後まで、火葬に立ち会われ、点火のスイッチも自分で入れられたのです。

 

火葬炉の煙突から上がる靄を見つめながら、Mさんは少しだけ目を潤ませ「そら、どんな人でも泣くわな・・・」と寂しげに笑いました。

 

 

私は無言でうなずいたのですが、その時、あることを考えていたので、少しだけ口元が緩んでいました。

それに気づいたMさんは私の顔を見て「なあ野村さん。ほんまは心の中で泣いてる俺のこと笑ってるんやろ?」と、言われたので「笑ってませんて。笑ってはいませんけど、ある事を考えて微笑ましく思っただけですよ」と私は正直に答えたのです。

「ある事ってなに?」とMさんが聞かれたので私は「いえ。この前のときもそうだったんですけど、今回もちゃんと綺麗にお花を散りばめた箱にフェレットちゃんを入れてあげるなんて、Mさんは優しい人やなって思ったんです」と、私は思ってることを伝えました。

Mさんは顔を真っ赤にしながら「もう~そういうこと言わんとって!照れるわホンマ!」と言って顔を背けられていました^ー^

 

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

 


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