「名残惜しさ」心残り9
火葬炉の温度が下がり、私はお骨を取り出し収骨場に運びました。
「どうぞこちらに」
私はMさんとTさんに声をかけお二人は静かな足取りで収骨場に入られたのです。
「あぁ・・・・」
そう声を漏らされたMさんは、左手で口元を隠されるような仕草をされ立ち止まられたのですが、Tさんは、そのままお骨の前まで歩み寄られ「すごく綺麗に残ってる・・・」と溜め息を吐くようにしながら言われました。
「そうですね・・・健康な骨ですね。ほぼ原形に近い形で残ったと思います」
私は自身の感想を含めたようにして言いました。
そのとき、Mさんも、もう数歩、歩み寄られ、あらためてお骨になった愛犬ちゃんを見られたのです。
私は、お二人にお骨の説明をした後、骨上げ箸を渡しました。
この段階で私は(やはり3寸では全部収まりきらないな・・・)と思いながら、お二人がお骨上げをされる様子を見守っていたのですが、MさんもTさんも、ほぼ無言でお骨を拾われていました。
そして、Mさんが後ろ足の大腿骨を箸でつままれたとき「足の骨は4本とも入れたほうがいいですか?」と質問をされたので、私は「そうですね、最後に頭を入れないといけないので、4つ全て入れたら、スペースがなくなるので、前足と後ろ足と1つずつの方がいいかもしれないですね」と助言するようにして、そう返答しました。
Mさんは無言でうなずき、言われた通り、前足と後ろ足のお骨をそれぞれ1本ずつ収め、その後も各骨の部位を少しずつ収めるようにしながら、残ったスペースに頭部のお骨をお骨壺に収められたのです。
一応、主骨とされる部位のお骨は収めることができたのですが、3寸のお骨壺に収まったのは全体の7割程度でありました。
Mさんは最後に喉仏の骨を収められ、収骨を終えられたのですが、そのとき「残った骨はどうなるんですか?」と訊ねられたので「そのまま永代供養になるので2階の合同供養の棺に納めることになります」と私は返答したのです。
「そうですか・・ちゃんと供養してくださるんなら・・・はい」とMさんは自分に納得させるようにして言われたのですが、私はその口調が妙に引っかかり、無言でMさんの顔を見ました。
(やっぱり全部お骨を持って帰りたい)
Mさんがそのように言われるのではないかと、内心、その言葉を待っていたのですが、Mさんは、その後、何も言わずバックから財布を出され、代金の支払いを済まされたのです。
私からお釣りと領収書を受け取ったMさんに「じゃあ行こうか」とTさんが声をかけられ、お二人は会館を出られたのですが、ホールを出る間際、Mさんはもう一度、振り返り収骨場に残されたお骨を見られたのです。
ほんの数秒間の視線ではあったのですが、その目は名残惜しさが滲んでいたように私には見えました。
このとき、私は(Mさんはきっと全てのお骨をお骨壺に収めたいと思っていらっしゃる。でも、Tさんから何かを言われ、そのことが言いにくいのか、あるいは時間を気にされていたTさんの手前、言い出せなかったのかも知れない)と強く感じていたのです。
Tさんが運転する車で帰って行かれたお二人を、会館前で見送った私は、もう一度、会館に戻り、申込書を見てMさんの住所を確認しました。
Mさんの住所は寝屋川市でありました。
火葬のとき、Tさんは「四条畷」と仰っていたことを思い出した私は、お二人は別の町に住んでいて、付き添いのTさんの車でMさんを乗せてこられたのだろうと思いました。
会館の前を通っている163号線を、そのまま東に向かうと、すぐ門真市に入り、その隣にあるのが寝屋川市で、さらにその隣が四条畷市という位置にあります。
Mさんの自宅までは車で10分くらいの距離だったので、私は少なくとも30分はMさんから電話があるのを待とうと決めました。
そう、MさんはTさんと別れた後、もう一度、お骨ののことが気になって電話をかけてこられるかも知れないと、私は思っていたのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
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野村圭一
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