ペットロスとそれに伴う不思議なお話
ペットセレモニーの仕事をしていると、それに纏わるいろいろな相談を受けることがあります。
中でも多いのが「2階から亡くなったペットの足音がするんです」「夢に亡くなったペットが出てきて悲しそうな顔をするんです」「玄関の前で鳴き声が聞こえたんで、すぐに開けたんですが何もいませんでした」と言った不思議な現象の相談です。
そのような質問を受けたとき、私は即答で「心配しなくていいです。普通にある話ですよ」と答えるようにしてます。
実際、そのようなことはペットを亡くされた人の大半が多かれ少なかれ経験されており、特にペットが亡くなってからの二ヶ月間に多く現れる現象でもあります。
原因のひとつとして、ペットを喪ったショックから、その現実を受け入れられないあまり、ペットが発する聞きなれた音やペットが居た日常の映像を無意識に脳が呼び起こしてしまい、それが幻聴や幻覚となって聞こえたり見えたりすることがあるそうです
もちろん、幻聴や幻覚といったものだけでは説明のできない、神秘的な体験をされた方も大勢いらっしゃいますし、私自身も経験したことがあります。
それは私が、とある犬ちゃんの葬儀の依頼を請けたときで、依頼者さんのご自宅に訪問し、祭壇の設置を済ませ、葬儀の準備を全て整えた後、何気に階段のほうに目をやったときでした。
亡くなった犬ちゃんとそっくりな犬ちゃんが上半身だけを階段の踊り場に出すようにして私の顔を二階から覗き込んでいたのです。
てっきり私は、もう1頭飼ってらっしゃるんだと思い、依頼者さんに「全部で何頭飼ってらっしゃるんですか?」と質問したとき、飼い主さんは祭壇に寝かされた亡くなった犬ちゃんのほうを見て「この子だけです」と仰いました。
それを聞いて再度、二階のほうを見たときには、覗いていた犬ちゃんの姿はなく、私は、一瞬、動揺しかけましたが、「きっとまだ魂はここに居るんだな」と気持ちを落ち着かせ、依頼者さんにもそのことを告げず、葬儀を始めました。
お葬儀が済み、出棺されて自宅前の駐車場で火葬をしたのですが、私は火葬の合間、駐車場から二階に向って合掌し、心の中でお経を唱えました。
後から依頼者さんに聞いたのですが、亡くなった犬ちゃんは腰が悪く、亡くなるまでの三年間は二階で過ごしていたらしく、依頼者さんが帰宅するといつも階段の踊り場から1階を覗いて向えてくれたそうです。
私が見たのは幻覚か見間違いなのかどうかはわからないのですが、ただ一つ言えるのは、怖いとかそういう感覚は全くなく、少しも嫌な気持ちは残らなかったということです。
むしろ、逆に「ちゃんと弔ってくださってありがとう」と御礼を言いに覗いてくれたんだろうなと思ったほどでした。
ですので、そのような相談を受けた場合、相談者の皆様は「ペットが天国に行けずに迷ってるのでは」「きっとこの世に未練があるのでは」など、心配されますが、私は「そんなことはありません。むしろ飼い主さんがいつまでも悲しんでるから心配して見にきてるんですよ」と激励することにしてます。
事実、このような現象で悩まれている人は、ペットを喪ったショックから立ち直れず、仕事や学校を休みがちになったり、家事なども放棄しがちになってしまうペットロス症候群の兆候が伺える方に多く見られ、ペットと過ごした部屋に篭りきりになっておられるケースも少なくありません。
特に女性の飼い主さんがペットロス症候群に陥りやすく、当社が相談を受けた7割がお一人暮らしの飼い主さんでした。
私が相談を受けた際、時間の許す限りお電話でお話を伺うようにしており、「学校や仕事にはちゃんと行っておられるか」「食事はちゃんととられておられるか」など、生活リズムが崩れていないかを、まず確認させてもらい、辛い中であっても規則正しい生活を心掛けてもらうことを第一にお話させてもらってます。
その上で、症状が重いと判断した場合、ご訪問して直接お話を聞いて、今後、どうするべきなのかを一緒に考えるようにしております。
そのような人の中で、ペットの葬儀が終わってから一週間、部屋に篭ったまま何も口にせず、過ごした人もいました。
私たちはあくまでもペットセレモニー会社の人間であって、カウンセラーではありません。
よって当然ながら、専門的な知識があるわけではありませんが、同じペットロス経験者として、また、自身も含め、それを乗越えたたくさんの人たちを見てきた人間として、ペットロスで苦しんでる方達と真正面から向き合いお話をさせてもらうようにしております。
そのような場合、私をはじめ、プレシャスコーポレーションのスタッフが対応させてもらっていますが、当然、費用は発生せず、全て無料でさせてもらっています。
無料というのは語弊がありますが、我々の考えるペット葬儀は過去にこのブログでも書いたことがあるように、亡くなったペットちゃんのためであると同時に、ペットを亡くされた飼い主様の「ケジメ」と「区切り」のために執り行っておるという理念があります。
飼い主さんが悲しみを乗越えて新たな一歩を踏み出して初めてセレモニーが完結すると思っており、弊社のペット葬儀の料金はそこまでも含んだセット料金だと私は考えおります。
ペットが亡くなったとき、弊社のことを紹介ではなく、飼い主さん自らが、ネットや電話帳で検索されてご依頼くださったとき、数ある同業者から弊社を選ばれた理由はそれぞれあると思いますが、私は亡くなったペットたちが「ここがいい。ここにしてほしい」と飼い主さんに見えない力で誘導したんだと思うことがよくあります。
こんなことを言えばおかしな事を言う人だと思う人もいらっしゃると思いますが、私は本当にそう思ってこの仕事をしています。
だから私がセレモニーを担当するとき、遺族である飼い主さんにお悔みを告げたあと、真っ先に亡くなったペットちゃんのところに行き、手を握って成仏を念じると同時に心の中で「呼んでくれてありがとう。後は任せてね」と話しかけるようにしています。
それは犬ちゃんや猫ちゃんに限らず、爬虫類であっても小鳥や小動物であってもそうしています。
たとえペットであっても大好きな飼い主さんを遺して先立つとき、ペットなりに遺していく家族のことを心配し、気にかけながら旅立っているに違いありません。
だから、悲しみに暮れる遺された人たちが、新たな一歩を踏み出せるように、その支えになることが我々の役割でもあると思っています。
そして、それこそが先立ったペットたちが我々に託した願いと想いなのではないでしょうか・・・
