「言葉の真意」二度 殺される 6
Tさんから同業者の苦情的な話を聞かされた私は複雑な心境でありました。
これは、現在もそうなのですが、当社に初めてご依頼された方。
それが友人や知人の紹介でもなく、インターネット等で検索されてご依頼された方は、我々葬儀屋に不信感をお持ちになられていることも少なくありません。
中には不信感を通り過ぎて敵意に近い感じで鋭い視線を向けられる方もいらっしゃるのですが、それは全て、ペット葬儀業界への信頼度の低さが原因であると私は思っております。
つまりは警戒されているのです。
Tさんも2年前の経験から、その気持ちが強く、それは電話で問い合わせをされたときから、そうだったのだと思います。
その時、Tさんが、不意に「あそこは2年前、更地だったんですよ」と、Tさんの自宅がある住宅街の角の店舗を指差しました。
「はあ・・・」
いきなり話題が代わり、何の話かわからなかった私はそう、気の無い返事して、Tさんが指差す方向に視線を向けました。
そこは一階がクリーニング屋さんで、二階が住居になってる建物で、周りの住宅に比べると、まだ真新しい感じがしていたのですが、Tさんがなぜそこを指差されたのかがわからず、私はTさんに視線を戻したのです。
Tさんは、まだ遠くを見るような目でクリーニング屋さんを見つめていたのですが、その表情は言葉をかけるのも躊躇うほど、意味深なものでありました。
「あのクリーニング屋さんがどうかしたんですか?」
私はそう聞こうと思ったのですが、そんなTさんを見て、思わず言葉を引っ込め、無言でTさんの言葉を待ちました。
Tさんは一度、目を深く閉ざしてから「ふ~」と大きく息を吐きました。
そして、「前の子が亡くなったとき、まだ、あそこ建つ前で更地だったんですね。それでそのときの葬儀業者さんそお更地に車を乗り上げるようにして停められたんですよ。それで(亡くなった猫ちゃんを)連れて帰るとき私ここから門の影に隠れて見送ったんですよ・・・そしたらその業者さん、早足で車に戻って、乱暴に車に〇〇(猫ちゃんの名前)を置いた後、そのまま助手席から大きなビニール袋をとって、その中に投げ捨てるようにして入れたんです・・・」とTさんは顔を歪めながらお話してくださったのです。
「ひどい・・・話ですね・・・」
私が率直な思いを口にすると、Tさんは顔を振りながら「でも、ひどかったのはその後なんです」と語尾を強めてそのように言われたのです。
「その業者さん、その後、袋の口をねじりながら括った後、ガムテープで何重も巻いたんです・・・確かに死語10日経ってたし、匂いもあったのは事実なんですけど、私、その光景を見てて『なにもそこまでしなくってもいいじゃない!』って心の中で叫びました」
Tさんはそこまで話、蒸せるようにして泣かれました。
私はハンカチをTさんに差し出したのですが、Tさんは首を振って受け取らず、手で涙を拭われたのです。
「すいません・・・なんか・・・思い出して感情的になってしまいました・・・」
Tさんはそう私に言って頭を下げたので、私は「いえ・・・」とだけ返事をしました。
「確かに他人からすればペットの死体なんて汚い物なのかも知れないでけど、ああいうのは見たくなかったです・・・・」首を落とし、Tさんはそう呟くように言った後、「私からすれば、二回殺されたような気持ちになってしまったんです・・・」と涙と無念さを滲ませながら、強く唇をかまれたのです・・・
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
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野村圭一
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