「利き腕」遺骨のメモリアルアクセサリーに込められた ある世界チャンピオンの魂 3
ご火葬が終わり、Tさん家族は収骨場に入られました。
火葬の際、私がTさんとお話をしてるとき、他の家族は何やら相談するようにされていたのですが、どうやらTさん以外の家族は遺骨のメモリアルグッズを作成することを決めらたようでありました。
大枝公園ちゃんのお骨を見られ、Tさんはじめ、ご家族は一同に「うわ・・・」と声をもらされたのですが、その声は驚きと言うより、安堵の気持ちから出る声のように私には聞こえたのです。
「どうしよっかな」
次男さんが独り言のように、そう言われたとき、長男さんがすかさず「お前は左やねんから左手にしろや」と言われたのです。
どうやら次男さんは遺骨のメモリアルアクセサリーを作成するにあたり、大枝公園ちゃんのお骨をガラス石材に融合させるのは、どの部位が良いか迷っておられたようでありました。
「うん。そうや。左手にしよ」
次男さんはそう返事をし、私に「左手の骨ってどれですか?」と訊ねられたのです。
猫の左手。つまりは左前足になるのですが、私はその部位を箸で指差すようにして「ここになります」と次男さんに見せました。
長男さんが言われた「お前は左やねんから左手にしろや」という言葉の意味は、どうやら次男さんの利き腕のことであり、次男さんは左利きで得意パンチが左ストレートであることを、私は長男さんから教えてもらったのです。
私はこの時、長男さんがボクシングをされてたことは知っていたのですが、次男さんまでも、ボクシングをされているのは知らなかったので、率直に「次男さんもボクシングされてるんですか?」と訊ねると、次男さんは少し照れたように「はい」と返事をされました。
そのときようやくTさんが自分以外の家族が遺骨でメモリアルアクセサリーを作成されることを奥さんから聞かされたようで「ふ~ん。そんなんあんの。へ~~」と感心されたように言われたのですが、その言葉とは裏腹に、表情には無関心さが漂っていました。
奥さんは「私ら作るけど、あんたどうする?」とTさんにメモリアルアクセサリーの作成の意向を訊ねられたのですが、Tさんは即答で「俺はエエわ」と苦笑いを浮かべながらお断りされたのです。
Tさんは私と息子さんたちに歩み寄るようにしながら「そんで〇〇〇(次男さんの名前)は左手にしたんか」と言われたので、私は「そうですね、人間でいう拳の部分の遺骨で作成させてもらいますね」と返事をすると、Tさんは「拳?拳って猫にもありますの?」と笑って言われました。
「まあ、拳というか、手の甲から指の関節のこの辺りです」と私が自分の拳のその部分を指しながら言うと、Tさんは「まあ猫パンチいうくらいやからあるんやろな」と言った後「でも、猫パンチやったらあかんやん」と表情を崩されたのです。
このときは、私も含めご家族も一同に笑ってしまったのですが、次男さんだけは「エエねん」と反論するように言われました。
「まあ、こんなんで試合に勝てたら苦労せんけど、ないよりはマシやろ」とTさん、私にだけ聞こえるように言って、優しい眼差しで息子さん達を眺めておられました。
その後、Tさんを除く奥さんと二人の息子さんが、アクセサリー用のお骨を選ばれた後、家族全員で収骨をされました。
収骨後、奥さん、長男さん、次男さんの3つのメモリアルアクセサリーの作成時間は、約2時間程かかると伝えたところ、ご家族は一度、自宅に戻られることになり「お世話なりました」と丁寧に頭を下げて帰っていかれたのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
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野村圭一
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