「なぜ、そんなウソをついたのですか?」

Mさんという男性からフェレットちゃんのご火葬のご依頼を請け、私はMさんのマンションに向かいました。

「仕事行く前に済ませたいんで」というMさんのご要望があり、早朝の5時に火葬を執り行うことになりました。

 

マンションに到着した私は、早朝ということもあり、インターホンではなく、携帯で到着したことをMさんに伝えたのです。

携帯に出られたMさんは「すぐ降ります」とだけ言われ、電話を切られました。

Mさんはご依頼の電話をくださったとき「葬儀とかそういうのはエエんで(いらないので)火葬だけしてやってください」と言われていたので、私はすぐに火葬に出来るよう準備を整えて待つことにしたのです。

 

待つこと5分。

仕事用の作業服姿のMさんが小さな箱を手に降りりてこられ「早ようにすいませんな。これですわ」と箱を私に差し出されたのです。

箱の中にはお花と一緒に綺麗な毛並みをしたフェレットちゃんが横たわっていました。

 

「かわいい顔してますねこの子」と私がMさんに言うと、Mさんは、わざとフェレットちゃんから目を逸らすようにしながら「まあ・・・でもフェレットはみんな同じような顔してますからね」と少しぶっきらぼうにお答えになられたのです。

Mさんは40代。土木関係の仕事をされているらしく、日焼けした顔に短く刈り上げた髪で、豪快で男らしい雰囲気の方でありました。

 

「そうですね。確かにフェレットはどの子も可愛い顔ですよね。でも、この子、毛も艶があって特別、可愛いですよ。きっと環境が良かったと思います」と私が、さらに言うと、Mさんは「そうですか・・・でも、まあ、俺が飼ってたんじゃないんでなんとも言えませんわ」と予想外の返答をされたのです。

「Mさんのフェレットちゃんではないんですか?」と私が驚きを隠さず訊ねると、Mさんは「ええまあ・・・一緒に住んでいた女(彼女さん)のペットなんですわ。そんで、別れたとき、こいつ(フェレット)置いていきよったんですわ」と、事情を説明してくださったのです。

「そうだったんですか」と私がうなずきながら言うと「でもまあ、言うても俺も一緒に住んでたんやし、死んだから言うて粗末には出来ませんやん。だから火葬だけでも俺が責任もってやったろう思うてお願いしたんですわ」とMさんは少しだけ照れたような表情を見せられたのです。

 

「わかりました。責任もってご火葬をさせてりただきます」と私はMさんに頭を下げた後、フェレットちゃんを火葬炉に納めようとMさんに背中を向けたときでありました。

「ちょっと缶コーヒー買ってくるわ」とMさんの声がしたのです。

慌てて振り返ると、すでにMさんはコンビニエンストアがある方向に歩き出していたので、私は「あのMさん、最後のお見送りをされないんですか?」と、声をかけたのですが、Mさんは振り向きもしないまま「ええねん。俺そういうの苦手やから任せますわ」と歩いて行かれたのです。

Mさんのこの行動に(やっぱり元々は自分のペットじゃないからなのかな)と私が少し落胆した視線でMさんの後ろ姿を見ているときでありました。

Mさんは肩を小刻みに震わせながら涙を拭くように右手の手首で顔を押えるような仕草をされたのです。

(汗をふいただけなのかな・・・それとも泣いておられたのかな・・・)

判断ができないままであったのですが、私はMさんがコンビニまで入っていかれるまで、手を止めて眺めていました。

 

(このまま火葬を始めていいものなのか・・・)

私は考えたのですが、Mさんはコンビニから出てくる様子もなく、すでに5分以上経過し、さらに、ご依頼のとき「仕事行く前に済ませたいんで」と言っておられたこともあったので、私は、一人でフェレットちゃんを火葬炉に納めた後、合掌でお見送りをし、火葬炉の点火スイッチを押したのです。

 

そして、火葬が終わりに差し掛かった頃、Mさんはコンビニ袋を手に戻ってこられ「これどうぞ」と、缶コーヒーを私にくださいました。

「ああ。ありがとうございます」と私はMさんの御好意をありがたく受取り、缶コーヒーをいただきました。

缶コーヒーを手渡されたとき、私はMさんの目元を注意深く見たのですが、Mさんの目は明らかに赤らんでいました。

(やはり泣いておられたんだ・・・)と私は思うと共に、Mさんのような男っぽい男性は極端に人前で涙を流すことに抵抗を感じられる人が多いので、私は気付いてないフリをすることにしたのです。

Mさんは携帯電話の時刻を確認しながら「もうちょっとですか?」と訊ねられたので「はい。後、五分ほどで終わります」と返事をしました。

 

火葬が無事に終わりお骨上げの準備を整えた私は、Mさんに骨上げ箸を渡した後、お骨の説明をしました。

Mさんは「うわ・・・もっと粉々になる思うてたんですけど、こないにちゃんと残るんですか?」と驚きを隠さずに聞かれたので「はい。当社の火葬炉は熱で火葬しますので、フェレットちゃんのような繊細な骨格のペットであっても、ほぼ原形のまま残るんですよ」と説明をした、その時でした。

お骨になったフェレットちゃんを見つめたMさんの瞳から大粒の涙が滲んでいたのです・・・

 

慌てて、私から顔を背けたMさんでしたが、涙は零れ落ち、Mさんは言訳するような口調で「やっぱりこういうのはあかんわ。苦手や。おたくがやって」と作り笑顔で箸を私に返したのです。

「わかりました」と私はなるべく平静な声で返事をし、Mさんに代わってフェレットちゃんのお骨上げをさせていただきました。

 

お骨上げが終わりに差し掛かった頃でした。

「ごめん・・・やっぱり自分でやるわ」と私の肩をたたきながらMさんが言われたのです。

振り返って見てみると、そこには、もう涙を隠さないMさんが居て、肩を震わせながら「箸ください」と言われたのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

 

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