涙を見せない人
愛するペットを見送る葬儀の席では、男女問わず、涙を流すことはめずらしいことではありません・・・
私もそうなのですが、大人の男性の場合、人前で涙を流すことに抵抗を感じる人もいらっしゃり、懸命に涙を堪えられる人もいらっしゃるのですが、女性に限ると、ほとんどの人が人目を憚らず涙を流されるものであります。
しかし、女性であっても涙を堪えられる、というより、涙を隠されることがあり、それは、幼いお子さんがいらっしゃるような若いママさんに多く、幼い子供に親が泣いてる姿を見せてはいけないという考えから、そうされているのだと思います。
しかし、まだ、未婚で、お子さんもいらっしゃらないのに、最後まで涙を懸命に堪えながらペットちゃんを見送った女性がいました。
その女性は少女のあどけなさの残るYさんという19歳の専門学生さんだったのですが、Yさんはセレモニーの最中、何度も涙が溢れそうになりながら、懸命に堪えていらしたのであります。
涙を堪えるYさんに気付いた私が「Yさん。悲しいときは泣いてもいいんですよ」と声をかけたときも、首を横に振り、けして涙を流すことはなかったのです。
頑なに涙を流すことを拒むようにされたYさんが、なぜ、そうされたのかを、私が理解したのは、Yさんがペットのセレモニーを終えられ、帰っていかれる後ろ姿を私が会館前で見送ったときでありました・・・
Yさんから鳩(ハト)のご火葬のお問い合せの電話を受けたのは、連日、真夏日の続いていた8月初旬の早朝でありました。
静かな声で「あの・・・・鳩なんですけど、火葬ってやってくれるんですか?」と、少しだけ不安そうに訊ねられたのです。
鳩という鳥は公園や住宅街であっても、頻繁に見かけることがあり、子供の頃から、もっとも馴染みのある鳥のひとつではあるのですが、ペットとして飼われるケースはほとんどなく、実際に鳩のご火葬依頼というのは、過去に過去にも数えるほどしかありませんでした。
Yさんの問いに私は「はい。大丈夫です。」と私は答え、その日の午前10時に会館でYさんの鳩のご火葬を執り行うことになったのです。
朝9時に会館に到着した私はセレモニーホールの掃除をした後、小型ペット専用の火葬炉の点検をすませ、Yさんの到着を待ちました。
その時、電話が鳴り、出てみると息を切らしたYさんが「すいません・・・近くまでは来てると思うんですけど、変な道に入ってしまったみたいで、道に迷ってしまったんです」と慌てたような声で言われたのです。
どうやらYさんは一人で自転車で会館に向かっていられたようでありました。
私は「そうですか。今、そこから、どんな建物が見えますか?」と訊ねると、Yさんは「えっと・・・○○って書いた看板の建物と○○診療所という病院が見えます」と言われたので、私はYさんおられる大よその場所の見当がつき「ああ近くですね。ではYさん、そこから少し戻って大きな道路に出て、右に曲がって真っ直ぐ来てください」と説明して電話を切りました。
そして、私は会館の前でYさんご来られるのを待つことにしたのですが、2分ほどした頃、左手で白い布のような袋を抱えながら、片手で自転車をこぐ小柄な女の子の姿が見えたのです。
女の子は、会館前に立つ、私の姿を見つけるとホっとしたような表情になり、会館前に自転車を止めて「すいません・・・Yです」と自己紹介をされたのです。
Yさんを見た私の第一印象は「しっかりとした女の子」というものであったのですが、私がYさんの口から19歳の専門学生と聞くまで、ずっと中学生くらいの女の子と思って接していたので「自転車で来たの?暑かったでしょ?」と、私は小さな子供に話しかけるような口調で言いました。
暑い中、自転車をこいだせいか、道に迷ってしまった照れくささからかはわかりませんが、Yさんは顔を赤らめながら「はい・・・でも迷ってしまって・・・ちょっと遅れてしまってすいませんでした」ペコリと頭を下げられたのです。
そんなYさんの礼儀正しさに私は自然と頬が緩み「どうぞ、中にお入りください」とYさんを誘導するように会館にお通ししたのです。
私の後を付いてくるようにして、会館に入られたYさんは鳩が納められた白い布を大切そうに両手で抱えたまま立ち止まり会館内を眺めるようにされていました。
そして私はセレモニーホールの前Yさんに「ペットちゃんを祭壇に寝かしてあげたいので、御預かりしても構いませんか?」と訊ねると、Yさんは「え?ああ。はい」と言ってゆっくりと白い布を私に手渡したのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
プレシャスコーポレーション
野村圭一
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