悲しみの準備・・・
その女性が会館に初めて来られたのは今から二か月ほど前の桜が散り始めた時期でありました。
会館の玄関前にあるグレートデン親子の置物の首からさげてある弊社プレシャスコーポレーションのペット葬儀の案内リーフレットを手にしたまま、会館を見上げるように中の様子を覗っておられたのです。
それに気付いた私は、玄関先に出て、女性に頭を下げながら「こんにちは」と挨拶をした後「何かご用でしょうか?」と控え目な声でお声をかけました。
女性は還暦を少し超えたくらいの小柄な人だったのですが、私に声をかけられ、少し戸惑ったように「ああ・・・すいません」と小さな声で言われた後、リーフレットを顔の前にかざすようにしながら「これ貰って行ってもいいですか?」と言われたのです。
「はい。どうぞ。かまいませんよ」と私が笑顔で返事すると、その女性は「去年の暮にここで猫の火葬したGさんから聞いてきたんです」と言われました。
私は、女性が口にされた「Gさん」の名前を聞いても、すぐにはピンとは来ず「そうですか。Gさん・・・Gさん・・・」と記憶を遡らせたのですが、思い出せず「すいません。そのGさんのペットちゃんの種類は?」と、女性に訊ねたのです。
女性は笑みを浮かべるようにして「Tちゃん言うて尻尾の短い大きな猫ちゃんやってんけど、たくさん(葬儀を)やられてはるから、わかりませんわな」と言われました。
ペットちゃんの名前と特徴を聞いたのにも関わらず、やはり思い出せなかった私は弁解するように「すいません。もしかしたら他のスタッフが担当したかも知れません」と頭を下げました。※後から調べたところ、Gさんの猫ちゃんのセレモニーは別のスタッフが担当していました。
「いえいえ構いません構いません」と女性は言われた後「Gさんが猫ちゃんの火葬をここでやったって教えてくれはったんで、それで、近いし見にきたんですわ」と寂しげな笑顔を浮かべて言われたのです。
「そうですか。わざわざありがとうございます」と、もう一度、頭を下げた後「あの・・・こちらに来られたということは、もしかしてペットちゃんが・・・?」と、私は聞きずらいこと訊ねたところ、その女性は一気に表情を曇らせて「いえ・・・まだ死んではいないんです・・・・でも、まあ・・・・言うてもね・・・・そんなに長くは・・・」と、そこまで言って涙ぐまれました・・・
「すいません・・・無神経なこと聞いて」と、私は謝ったのですが、女性は首を横に振り「いえいえ。ここ葬儀屋さんやねんからそう思いはるの仕方ないですわ」と、気遣うように笑顔で仰いました。
そして「うちも猫なんですけど、腎臓悪くなってもうてね・・・先生(医師)も『もう長くないですね』って言うてはるし、そろそろ覚悟せんとあかん思うて、もしものことあったらちゃんとしてあげよう思って・・・そんでGさんにどうしはったんか聞いてら『ここでやったけた』って言いはったんで、ここに来たんですわ」と伏し目がちに。ポツリポツリと言わたのです。
話を無言でうなづきながら聞いていた私に「でも、先生から長くない言われてから一か月以上経ったしね、ご飯もよう~け食べますねん。だから、まだまだ死ねへんちゃうかなって思ってるんです」と女性は少しおどけたような笑顔になられて言いました。
「そうですか。でも、本当に医者から『今日明日がヤマです』って宣告されたのにも関わらず、一年以上生きた猫ちゃんもたくさんいますし、普通に長生きするかも知れませんよ」と私が言うと、女性は「そうですね・・・そうやったらええんやけど」と目を細められたのです。
その後、私は女性から猫ちゃんの闘病生活の様子を聞かせてもらっていたのですが、せっかくなので、会館内施設を案内させてもらおうと思い「もし、よろしければ、中の施設も見学されますか?」と提案しました。
ところが、女性は「いえいえ。場所(所在地)だけ確認したかっただけなんでよろしいです」と、頭を下げて、お断りされた後「では、これで」と、帰ろうとされたのですが、すぐに、立ち止まり「やっぱり、どんなところか見せてもらおうかな・・・かまいません?」と首を傾げながら言われたのです。
そう言われた、私は「はい」と返事をした後「どうぞ」とエスコートするようにして会館を案内しました。
最初に私はをセレモニーホールにお通ししたのですが、女性はセレモニーホールの祭壇を目にした瞬間、出来ることなら来てほしくない、その日のことが頭に過ったのか、口元を押えるようにして、涙を流されたのです。
「すいません!大丈夫ですか?」と、私が動揺しながら歩み寄ると、女性は顔を隠すようにして「やっぱり今日は帰ります。すいませんほんまに」と言った後、玄関に向かって歩き出されました。
出過ぎたことをしてしまったのかなと、私は反省するように、女性の後を付いて玄関先まで送ったのですが、女性は逆に恐縮されたように何度も頭を下げながら「ごめんなさいね・・・・」と言われた後「もし、何かあったらそのときはお願いします」と言って帰って行かれたのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
プレシャスコーポレーション
野村圭一
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