忌々しい場所と不思議な因果

前回のブログの中で、私自身のペットロスの経験と、愛犬を交通事故で亡くなった現場を訪れた話をさせてもらったのですが、今回は少しだけその続きを書かせてもらいます。

 

父に連れられて私の愛犬のランが事故死した場所を訪れたとき、私は、ただ、泣きじゃくっていました。

父と一緒に線香をあげ、父に支えられるように、その場を後にした私は事故当日より悲しかったことを記憶しています。

 

その後、私は大人になるまで、二度と、その場所を訪れることはありませんでした。

それは、避けていたということだけが理由ではなく、それからしばらくして、家族で引っ越すことになり、生まれ育ったその町を離れることになったからであります。

 

 

再び、その町のその場所に行ったのは社会人になってからでありました。

偶然にも取引先が近くにあり、その場所を車で通る機会があったのです。

 

意識していなくても、その場所が近づくにつれ、思い出したくもない記憶が脳裏に浮かんできました。

 

(次の交差点を曲がったらあの現場だな・・・)怖いような、懐かしいような、気持ちの整理のつかないまま、車のハンドルを切った私の目に入ってきたのは、記憶の中の古びた町ではなく、同じ場所と思えぬほど様変わりした街並みでありました。

一瞬、道を間違ったのかなと思ったほど、街の景色は変わっており、事故現場には巨大なマンションが立ち並んでいたのです。

 

驚きのあまり、私は路肩に車を止め、外に出て、もう一度、街並みを眺めました。

 

街はところどころに、面影は残っていたので間違いはなかったのですが、しばらくの間、自分の記憶と照らし合すように、事故現場に建つ巨大なマンションを見上げて、何とも言えない気持ちになってしまったのです。

 

愛犬が亡くなった、あの忌々しい場所がもう存在しないという事実にホッとした気持ちと寂しい気持ちが交差して複雑な気持ちになったのです。

 

5分ほど、その場所で佇んでいましたが、私は仕事中であることを思い出し、車に戻り、取引先に向かいました。

 

 

その後、私は転職し、その取引先に行くこともなくなり、あの場所を通ることもなくなりました。

 

そして、サラリーマンを辞め、独立した私は、念願でもあったペット葬儀会社を設立するに至るのですが、今から遡ること二年前、不思議な因果を感じる出来事に遭遇することになるのです。

 

二年前のある日、とある飼い主さんから、私の愛犬と同じシーズー犬のセレモニーのご依頼があり、私はいつものように電話でお悔やみを告げた後、セレモニーの流れを説明しました。

シーズは人気犬種でもあったので、普段からご依頼も多く、私はさほど気にとめることもなく、飼い主さんとセレモニーの日時を決めたのです。

 

そして、飼い主さんの自宅住所を訊ねたとき、思わず、記入していた手が止まりました。

 

飼い主さんが口にされた、その住所は、あの事故現場に建ったマンションだったのです。

 

そのセレモニーの予約日、私はすでに別のセレモニーのご指名予約が入っており、別のスタッフが担当することになったのでありますが、私は妙に落ち着かないような気持ちで当日を迎えることを覚えています。

 

当日、担当したセレモニーが予想してたより、早く終わったので、私はあのマンションのセレモニーを担当しているスタッフに電話をしました。

電話に出たスタッフは「今、お焼香の義が終わり、今から出棺して、マンションの前の通りで火葬するところです」と報告をしてくれました。

「少し早く終わったから、今からそっち応援に行くわ」とスタッフに伝えたところ「はあ・・・それは別に構いませんが、どうされたんですか?僕一人でも大丈夫ですよ」と不思議そうに言ったので、私は「実はそのマンションってランの事故現場の跡地に建ったマンションやね。深い意味はないけど、なんとなくそこに行きたい心境やねん。行ってもいいかな?」と正直に伝えました。

 

私が過去に愛犬を事故で亡くしたことは、全スタッフに話したことがあり、周知の事実でありました。

「そうなんですか!?」と驚いた様子のスタッフは「わかりました。では待ってます」と承諾してくれ、私は「でもそれはご依頼者には関係のないこ話やから、余計なことは言わんでいいからね。普通に応援に駆け付けたって説明するから」

そう言って私は電話を切り現地に向かったのです。

 

しかし、スタッフにそう電話で告げたことで、私は、自分がとても不条理な考えでいることに気付きました。

自分の愛犬が亡くなった場所で同じ犬種のセレモニーがあるというだけであるのに、まるでそれが、愛犬の弔いと供養を兼ねているかのような気持ちになっていたのです。

 

そんな個人的な因果など、ご依頼者さんにも、亡くなったシーズーちゃんにも関係がないことであり、現地に向かう車中で私は自分が間違った行動をしていることを自覚することになったのです。

 

(間違ってる・・・亡くなったシーズーちゃんにも飼い主さんにも、そしてランにとっても失礼な考え方だ)

 

それに気づいた私は(亡くなったシーズーちゃんと、それを見送る飼い主さんのことだけを考えよう)と気持ちを切り替え、現地に到着しました。

 

現地ではすでに火葬が始まっていたので、私は静かに歩み寄り、会社の代表者として飼い主さんにお悔やみを告げた後、担当スタッフと共に葬儀屋としての仕事のみに徹しました。

 

全てのセレモニーを無事に終え、マンション前で飼い主さん達と別れた後、担当スタッフと二人になった私は「よくよく考えたらランの事故現場だとか、そういうのって何も関係ないよな・・・なんか、変なもの持ち込んで悪かった」と謝りました。

 

担当スタッフは「いえ、それは別にいいです。でも、ここなんですか?ランちゃんが亡くなった場所って?」と道路の方に目をやって訊ねたので「うん。当時はそこに歩道との境がない道があって、ちょうどこのマンションのところに工場があってん。その工場の前の道でひかれたんや」と私は説明をしました。

 

「そうですか・・・」そう言ったスタッフは無言で合掌をしてくれました。

そして私もそれにつられるように事故現場があった場所に向かい合掌をしたのです。

 

次のセレモニーに向かうスタッフと現地で別れた私は一人、本社に戻り、いろいろな考えを巡らせていました。

 

自分が思い付きとこじつけで取ろうとした安易な行動を反省すると共に、ランの供養は自分だけの問題であると再認識し、今後、自分なりの方法で供養していこうと決めたのです。

 

私がそうであったように、愛するペットを喪うということは人によっては人生最大の悲しみであることもあり、そんな飼い主さんのサポートに徹するのが我々の仕事でもあります。

 

この日のセレモニーを機に私のペット葬儀という仕事に対する姿勢の意識が少し変ったのでありますが、それはプロのおくりびととしての自覚に目覚めた瞬間でもありました。

 

そして、このブログを書き始めるきっかけにもなったのです。

 

私を含めプレシャスコーポレーションはまだまだ未熟な存在であります。

しかし、日々の仕事の中で、いろいろな経験を重ね、少しずつではありますが、理想のペット葬儀屋になれるよう、勉強の毎日であります。

 

その向上心だけは持ち続け、目標に向かいスタッフ一同、今後も邁進していく心構えであります。

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

大阪 ペット葬儀・火葬に関するお問い合せはプレシャスコーポレーションまで

大阪本社

大阪府守口市菊水通3丁目7-9
ペット葬儀・火葬のご依頼はフリーダイヤル:0120-982-660

 

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