「飼い主さんとの対面」再会を実現してもらうべく~探偵さんと同行した二日間~7
捜索活動の二日目は、Rちゃんの目撃情報があった宗教施設の周辺を中心に行いました。
初日に比べ、捜索する範囲が狭まったものの、歩きながら探すことは同じであり、逆に、範囲が狭くなった分、同じ道を何度も往復することになるので、単調な作業の繰り返しになります。
それこそ、3分後に同じ道を通ることもあるのですが、Nさんの経験上「1分前には居なかったのに、もう一度同じ道を通ったときに迷子の猫を発見したこともあった」と言うように、相手が動く生き物である以上、このような活動を、ただ、黙々と続けることが、大切なのだそうです。
私は飽き性な性格なので、集中力を維持しながら同じ道を何度も探すという事を続けるのは、正直、つらい事ではあったのですが、Nさんは前日同様、一定のリズムでRちゃんを探しておられました。
しかし、捜索の二日目に入って、良いこともたくさんありました。
それは、住民の人達が前日のたった一日の活動にも関わらず、私の存在を「猫を探してる人」と認識してくださったことで、私を見かけると「どうや?見つかった?」や「頑張りや」と温かい声をかけてくれるようになったことです。
そんな住民さんの中には「冷たいお茶いれたるから飲んでいき」とお茶をくださる方や、わざわざ、自転車で追いかけてきて「猫を探されてるんでしょ?私も猫を飼ってるのよ。協力するからビラをください」と協力を申し出てくださる方もいたのです。
Nさんは、それこそ日本全国で迷子のペットを探した経験がおありになるのですが「一番協力的なのは関西の人です」と言ってた通り、本当に地域住民の人は協力的でありました。
そして、この日の捜索を開始して二時間ほどしたときでした。
私とNさんは地図を見ながら、お互いが聞き取りで得た情報を報告し合っていたとき、女性が一人、私とNさんの方に近づいきました。
(誰だろう?)と私が思っていると、Nさんが「あ!」と声をあげ「ご苦労様です」と声をかけたのです。
女性の方も「こちらこそ、暑いのにありがとうございます」と頭を下げられ、Nさんは「いえいえ」と恐縮しながら言った後、私に「こちらRちゃんの飼い主さんです」と紹介をしてくださいました。
私は今回、自らの申し出で、あまり深く考えずに、Nさんに同行させてもらっていたのですが、この時、よくよく考えたらペット葬儀会社の人間が迷子のペットを探すというのは、考えようによっては、とても不自然なことだと気付いたのです。
なんと自己紹介すべきか迷ったのですが「どうもボランティアの野村です」と咄嗟に私は自分の立場をそのように名乗りました。
「ああ・・・ボランティアさんなの・・・ありがとうございます・・・」と飼い主さんは薄っすらと瞳と潤ませながら頭を下げてくださいました。
そして飼い主さんは「何か進展ありました?」と申し訳なさそうにNさんに訊ねられ、Nさんは「いえ。その後は新たな進展はありません」と、うつむきながら答えた後「でも、おそらく陽が落ちたら何か動きがあると思います。きっと見つかりますよ」と、飼い主さんを励ますように力強く言われたのです。
飼い主さんは「そうですね・・・ありがとうございます」と、もう一度、頭を下げられた後、独り言のように「Rちゃんどこに居てるんやろ・・・きっと目ヤニだらけなってるんやろうな・・・可哀想に」と、ポツリと言いながらビラのRちゃんの写真を指で撫でられたのです。
私には飼い主さんが言われた言葉の意味がいまいち伝わらず「目ヤニ?ですか?」と飼い主さんの顔を覗き込むようにして聞くと、飼い主さんは写真を見たまま「はい。Rはね、両目の下を手術したことがあって、その手術痕に目ヤニが溜まってしまうんです。不器用で甘えん坊だから自分で取ることが出来なくって、いつも、私がとってあげてたんです・・・今ごろ、きっと目ヤニだらけになってるはずですわ・・・」と、悲しげな表情で言われたのです。
その後、飼い主さんは「もう一度、自宅の周辺を探してきます」と自宅のある方向に帰っていかれ、私とNさんは目撃情報があった宗教施設の周りを重点的に捜索することにしました。
少しの時間ではありましたが、飼い主さんと直接会って話したことで、私の気持ちに、ある変化がありました。
それは、今までは、ただ闇雲に「Rちゃんを見つける」という目的のみで活動してたのとは違い、Rちゃんと飼い主さんを再会させてあげたいという思いが加わり、私の中に使命感のようなものが芽生えたのであります。
そして、もう一つ。飼い主さんとのこの僅かな会話で、Nさんが言っておられた「飼い主さんとのヒヤリングはとても重要なんです」という言葉の意味を私自身が、身をもって知ることになるのです。
陽が完全に落ちた頃になっても、新たな進展はなく、ただ、Nさんが絞り込んだ範囲内を私はRちゃんの姿を探して歩き続けました。
前日同様、空腹感を覚えたのですが、集中力を維持するために、食事はとらず、Nさんと同じように一定のリズムを心掛けながら、捜索を続けたのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
プレシャスコーポレーション
野村圭一
