「目撃情報」再会を実現してもらうべく~探偵さんと同行した二日間~4

少年達と別れた後、私はトイレに行きたくなり、近くのコンビニに入りました。

そして用を済ませ、洗面台で手を洗ったときでした。

私は鏡に映る自分の姿を見て愕然としたのです・・・

 

たった一日歩いただけなのに、私の顔は真っ黒に日焼けし、疲労からか、目がくぼみ、頬がこけ、何とも悪い人相になっていたのです。

おそらく、この一日で、3キロ近く体重が減っていたかもしれません。

 

おまけに、その人相に、良かれと思って選んだ黒い服装も相まって、自分で見ても怪しい人にしか見えなかったのです。

 

事実、日が暮れてから聞き込みをしたとき、声をかけた人に「ギョッ」とされることが増えたように感じてたのは、これが原因だったのかも知れません・・・

(これじゃあ探偵というより、車上荒らしか強盗犯に見えるな・・・そりゃヤンチャ少年にも敵意を持たれるはずや・・・)と私は黒い服を選んだことを後悔しました。

明日はもっと爽やかに見える服にしようと決め、私はコンビニを出たのです。

 

コンビニを出てすぐ、私の目に「餃子の王将」の看板が飛び込んできました。

同時にお腹が鳴り、思わず「餃子」の文字に唾を飲み込んだのです。

(うぅぅ・・・食べたい・・・でもNさんは食べずにやってはるんやろうな・・・あ~でも食べたい・・・Nさんも『食べて休憩してください』って言うてはったし、食べてもいいよな・・・あ~~~・・・」と葛藤した挙句、私は誘惑に負け、王将に入りました。

そして、天津飯と鶏のからあげを注文したのです。

本当は餃子も食べたかったのですが、聞き込みをするのにニンニクの臭いは失礼だと思ったので我慢しました。

運ばれてきた天津飯とからあげは今まで食べたどの中華料理より美味しく、私は3分ほどで完食したのです。

 

食べてしまった罪悪感からか、私は食べ終わった後、お勘定を済まし、すぐに外に出ました。

しかし、食べた満足感より、食べた後悔のほうが大きかったのです。

それは罪悪感だけではなく、満腹感から来る睡魔が原因で、ご飯を食べた後、明らかに私の集中力は低下してしまい、食べる前までは無意識に出来ていた、路地や暗がりをRちゃんを探しながら歩くことすら、意識しないと出来なくなってしまったのです。

Nさんが言っていた「ご飯を食べるとリズムが狂う」と言ってたのはこのことなのかも知れない・・・

一度落ちた集中力を再び上げるのは容易ではなく、ボ~と、ただ、ひたすらダラダラと歩いてる時間が増え、気が付けば、違うことを考えている始末でありました。

 

その時、マンションの駐車場の車の下を懐中電灯を照らしながら、真剣な眼差しでRちゃんを探すNさんの姿が見えたのです・・・

(ほんまにすごい精神力やな・・・いったいこの人の忍耐力はどこからくるんやろ・・・)と感心しつつ、何となく、今、Nさんと合うの気まずいな・・・と感じた私は立ち止まって引返そうとしました。

しかし、その時、Nさんが私に気付き「あ、野村さん。何か新たな情報ありました?」と近づいて来たのです。

 

私はNさんから目を逸らしながら「いえ・・・あきません・・・収穫なしです・・・」と小さな声で言った後「Nさんの方は?」と訊ねると「同じです。あれから4匹猫を見ましたが、どれも黒か柄猫で、白はいまえんね・・・」と息を吐きながら空を見上げたのです。

汗で光るNさんの横顔を見た私は、急に心苦しくなり「あの・・・Nさん・・・実は、さっきご飯を食べてしまったんです・・・」と正直に告白しました。

「そうですか^^」と、Nさんは笑顔で咎める様子もなかったのですが、私は「すいません・・・自分だけ」と頭を下げました。

そんな私を見たNさんは「だから野村さん本当に気にしなくっていいですよ^^僕は仕事でやってるんだし、野村さんは御好意でやってくれてはるんですもん。気にせず、いくらでも休憩してくれていいですよ」と励ますように言ってくれたのです。

 

「いや・・・すいません。でも、食べてわかったんですけど、お腹いっぱいになると明らかにモチベーションも集中力も落ちますね・・・」と私がポツリと言うと、Nさんは「でしょ?^^だから僕食べないんです」と、うなずきながら言いました。

「Nさん知ってたんなら先に言ってくださいよ・・・こんなふうになるんやったら食べんかったらよかったですわ・・・人差し指入れて吐こうかな・・・」と私が投げやり気味に言うと「あはは^^わざわざ吐くことはないですよ。そんなことしなくても、有力な情報一件入るだけで、一気に元気になりますから。それに僕、さっき言ったはずですよ、リズム悪くなるって」とNさんは笑って言った後「ところで野村さん、何食べはったんですか?」と聞いてきたのです。

「え?・・・ああ、天津飯です・・・」と私がうつむきながら答えるとNさんは「天津飯ですか^^いいですね」と言われたので「・・・あと、からあげも・・・」と正直に言いました。

この時、Nさんは何がそんなに可笑しかったのか、クールなキャラに似合わないくらい大笑いをされていました。

きっと、これは疲れがピークに達したとき、例えば友達と夜更かしをしているとき、些細なことでも笑いが止まらないようなときがあると思うのですが、Nさんは、それに近い感覚になっていたのかも知れません。

 

笑うNさんを見て、私も可笑しくなってきて、二人で笑っていたときでした。

自転車に乗った男性がビラを片手に近づいて来たのです。

この男性はこの時より30分ほど前にNさんが聞き込みをし、ビラを手渡した人だったのですが、男性は「遊歩道のとこに、白い猫おったで」と、わざわざ知らせに来てくれたのです。

 

一気に緊張感が走った私とNさんは立ち上がり「遊歩道のどこですか?」と、ほぼ同時に男性に訊ねました。

男性は「ちょうど国道と交差して高架になってるとこ、そこに階段があって、その階段の下におったよ」と、その方向を指さしながら言ったのです。

「ありがとうございます!野村さん行きましょう」とNさんは男性に頭を下げた後、私にそう言って駆け出し、私も男性に「ありがとうございます!」と声をかけた後、Nさんの後を追いました。

 

有力な情報一つで生きかえるとNさんが言ったのは本当で、私は集中力のことも、足の痛みも忘れ全力で走り、すぐにNさんに追いついた後、二人で肩を並べるようにして夜の町を駆け抜けたのです。

 

私とNさんは遊歩道に入り、ジョギングやウォーキングをしている人達を追い抜くようにしながら、男性が教えてくれた高架の階段に向かって走りました。

その場所まで50メートルに近づいた時、男性が言っていた階段付近に動く白い影が見えたのです。

 

いる!

何か白いものが動いている!

 

一気にテンションが上がった私は「Nさん!居ますよ!」と息を切らしながら声をかえると「はい見えてます!居ますね。それも白い猫だ!」と、Nさんも興奮気味に言いました。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

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