つらく、やりきれない日

5月19日のブログにも書きましたが、ペット葬儀屋であっても、回数を重ねることで、飼い主さんと信頼関係が築けることがあり、語弊かも知れませんが、馴染みさんと呼べるご依頼者さんもいらっしゃいます。

 

Kさんという、還暦を過ぎた元ブリーダーの男性がいらっしゃるのですが、ブリーダーを引退された今でもたくさんの犬を飼っていらっしゃいます。

 

Kさんは過去に愛犬であるミニチュアダックスフンドの葬儀を当社にご依頼してくださったのであり、そのときに当社の理念や葬儀の流れを大変評価してくださり、それ以来、ペットちゃんに何かあれば、必ず当社にご依頼をくださるようになったのです。

 

Kさんは気さくな方で、葬儀の席であっても沈んだ表情を浮かべることもなく、私に話しかけてくださるような人であります。

 

ですので、葬儀をご依頼されるときも、「また野村さんに会う用事が出来ましたは」と少しジョークを交え普段と同じような口調でご依頼してくださるのでありますが、その日、Kさんはいつもと違った口調で電話をかけてこられたのです。

 

電話口のKさんは「野村さん?いつもお世話になってるKです」と名乗られたので、私は「ああKさん。どうされたんですか?」と聞きました。

 

Kさんは、いつもと違い、沈んだ声で「実はまた(葬儀を)お願いしたいんですけど、今日って昼から空いてる時間ありますか?」と訊ねられたのです。

 

私はすぐに予定表を確認し「14時なら大丈夫です」と返事をしました。

 

少し間があり、Kさんが電話の向こうで誰かと会話されてる声が聞こえていたのですが、すぐに「では、14時にお願いします」と返答されたので、私は「了解しました」と返事をしました。

 

「あのKさん、失礼ですが、ペットちゃんの種類は?」

 

私がそう訊ねると、Kさんは少し重めの口調で「ああ・・・トイプードルです」と言われたのです。

 

その後、Kさんと、二三、会話を交わし電話を切ったのですが、電話を切った後、私は、明らかにいつもと雰囲気が違ったKさんに、少し違和感を感じたのです。

 

それにトイプードルとKさんは言われたのですが、過去にKさんと葬儀の席でいろんなペットの話を聞かせてもらったとき、トイプードルの話をされたことがなかったので、私はそれも引っかかっていました。

 

誤解のある表現ですが、亡くなったショックはペットによって違うこともあり、もしかしたら、トイプードルちゃんはKさんにとって何か特別なペットであったのかなと、私は勝手な想像を膨らませたのです。

 

その日、午前中に一件の葬儀があり、終わったのは13時でありました。

 

次はKさんのトイプードルちゃんの葬儀だなと私は時計を確認しながら、準備を整えて待つことにしたのです。

 

そして時計が14時を少し過ぎた頃、Kさんの車が会館に入ってくるのが見えました。

 

いつものようにお出迎えしたのですが、この日はいつもと様子が違ったのです。

 

Kさんはいつもお一人で葬儀に来られるのですが、この日、後部座席に女性の姿があったのです。

 

私はKさんのペットの話は聞いたことがあるのですが、それ以外のプライベートな話、例えばご家族のことなどは伺ったこともなく、Kさんがどのような家族構成なのかも知りませんでした。

 

後部座席の女性はKさんの家族なのかなと思いつつ、私は車から降りて来られたKさんにお悔やみを告げました。

 

Kさんは無言で頭だけを下げられたのですが、その表情も仕草も、やはり、いつもと明らかに違ったのです。

 

そしてKさんは後部座席のドアを開け、一人の女性がトイプードルちゃんを抱いて降りて来られました。

 

年齢的に、Kさんの娘さんなのかな・・・と私は思いながら女性に「プレシャスコーポレーションの野村です」と自己紹介をしました。

 

女性は私の声に顔を上げられたのですが、その表情は思わず言葉を飲み込むほど憔悴されていたのです・・・

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

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