「生みの親と育ての親」つらく、やりきれない日 4

Kさんのペット達がトイプードルちゃんを死に至らせた・・・・

 

私はその事実をKさんからお聞きし、言葉を失ってしまったのです。

 

Kさんが話してくれたのはそこまででありました。

 

その後、Kさんがトイプードルちゃんの飼い主さんの女性にどのように伝え、そして、どのような話の流れで当社で葬儀をされることになったのかまでは話されなかったのですが、私もお聞きすることはできませんでした。

 

というより、それ以上、Kさんに話を伺うことは酷だと思って聞かなかったのです。

 

Kさんの雰囲気がいつもの違ったのは、このことが原因だったんだ・・・

 

そんなことを思いながら、私は振り返り、飼い主さんの方を見たのですが、飼い主さんは、ソファーに座ったまま、時折、鼻を啜られるようにされていました。

 

今までも、馴染みさんと呼べる人達が、知人や友人のペットが亡くなったとき、当社を推薦してくださり、そして葬儀にも参列されたようなことは過去にもありました。

 

しかし、今回のようなケースは初めてであり、Kさんのやりきれない気持ちや、飼い主さんの悲しみと怒りが交じった複雑な心境を抱えたまま、葬儀に入ろうとしているこの状況に私は、経験したことのない緊張を感じたのです。

 

そしてもう一人。

 

今、こちらに向っているトイプードルちゃんのブリーダーさんの存在も私は気がかりでありました。

 

飼い主さんが育ての親であるならば、とブリーダーさんは言わば生みの親であります。

 

そんな人が、今回の訃報を知って、どのような気持ちになられたのだろうか・・・

 

葬儀に参列されるのだから、おそらく亡くなったトイプードルちゃんには特別な想いがあったのは間違いなく、それ故に、Kさんと対面されたとき、どのような気持ちになられるのだろうか・・・

 

私はそのことが、とても気がかりであったのです。

 

そんなことを思いながら、私はセレモニーホールでKさんを肩を並べるようにして立ちすくんでいました。

 

その時でありました。

 

飼い主さんが会館の玄関の方を見ながら「来られたかも・・・」とつぶやき、すくっと立たれたのです。

 

私はがつられるようにして玄関に目を向けると1台のタクシーが会館前に停まっていました。

 

そしてタクシーから一人の女性が降りて来られたのです。

 

飼い主さんが出迎えるように玄関に向われたので、私も飼い主さんの後について行くようにして玄関先に向いました。

 

タクシーから降りて来られたのはブリーダーさんであり、出迎えた飼い主さんを見つけると、無言で抱きしめられたのです。

 

飼い主さんは何かを言いながらブリーダーさんに縋るようにされたのですが、それは言葉にはならず、ただ嗚咽だけが会館に響いていました・・・

 

ブリーダーさんはそんな飼い主さんを優しく支えるようにしながら、目に涙を滲ませ、そして、飼い主さんの耳元で何か二言三言、お言葉をかけられたのですが、私の位置からは聞き取れませんでした。

 

そして、ブリーダーさんは後方に居た私に気付くと、ふと、我に返ったような表情になられ、少しだけ厳しい視線を私に向けられたのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

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