「仔猫ちゃんとの出逢い」ある新聞配達員さんと野良猫ちゃんのお話 4

「すいません・・・もう大丈夫です」とSさんは言われ、私は祭壇の前に立ち、一礼を奉げた後、もう一度、Sさんを振り返り「Sさん。この子は野良ちゃんの仔猫だとお電話で言っておられたのですが、やはり名前はつけておられないのでしょうか?」と訊ねました。

 

「そう・・・ですね・・・初めて見たときにはもう死んでやったんで・・・名前はないですね・・・」と、Sさんは伏し目がちに返答してくださり、私はうなずきながら「そうですか・・・」とだけ返事をしました。

 

Sさんは「名前が必要なんですか?」と不安そうに訊ねられたので「いえ。どうしても必要というわけではないのですが、お経のときにお名前を読み上げる節がありまして、それでお訊ねしたんです」と私は説明をしたのです。

 

「皆さんはこんなときどうされているんですか?」とSさんは、さらに訊ねられたので、「はい。たとえ自分のペットでないにせよ、大抵の皆さんはこの場でお付けになられますね」と正直にお答えしました。

 

私にそう言われ、Sさんは少し戸惑ったような表情を浮かべられたのですが、私は「どうでしょうSさん。こうやってお見送りをされるのですからSさんがこの子の名付け親になられてはどうですか?」と提案するように言いました。

 

Sさんは伏し目がちになりながら「そうですよね・・・名前がないと可哀想ですよね・・・」少しうつむくようにされた後、顔をあげ「どんな名前がいいですかね?」私に訊ねられたのです。

 

そう聞かれ、私は「これだけはSさんがつけてあげたほうがいいですよ」と笑顔で返した後「あの・・・つらい質問かも知れないですが、どのような経緯でこの仔猫ちゃんと出逢ったんですか?」とSさんに訊ねました。

 

Sさんが仔猫ちゃんを初めて見たときは、すでに息を引き取っていたということだったので、このようなとき「出逢った」という表現は正しくないのかも知れませんが、私はあえて、その言葉を使いました。

 

そして、私のその問いかけにSさんはもう一度、視線を落とされ、目に涙を浮かべながら「実は私・・・新聞配達の仕事をしてるんです・・・」とポツリと言われたのです。

 

「はい」とだけ返事した私はSさんの次の言葉を待ったのですが、Sさんは仔猫ちゃんとのことを思い出されたようで、そのまま黙り込み大粒の涙を流されたのです・・・

 

「すいません・・・少し思い出してしまって・・・」

 

そう言って、Sさんは涙を指で拭われた後、遠くを見るような目をされて「私ね・・・本当に新聞配達という仕事が好きなんですよ・・・といっても新聞配達の仕事そのものが好きな訳ではないんですが、毎日ね、決まった時間に決まったコースを配達してるとね、いろんな動物と会えるんです。それが私の毎日の楽しみなんです」と優しげな笑みを浮かべてそう話し出されたのです。

 

Sさんは続けるように「ここを通ればあの猫ちゃんに会える。あの家に新聞を届ければあのワンちゃんに会える。あの公園を通ると野良猫ちゃん達に会える。そんな感じで、お決まりのコースがあって、そこで会える猫や犬と触れ合うことが私の何よりの楽しみなんですね・・・私は小さな頃から動物が好きで、私自身も犬を飼ってるんですが、それと同じように、仕事の合間に会える動物達もすごくカワイイと思える存在なんです」と日々の仕事における日常の風景のようにお話ししてくださったのです。

 

「本当にあの子(動物)達と会うのが楽しみで、あの子達に会うために新聞を配ってるような感覚なんですよ。この前、選挙があった関係で、普段は休刊日の月曜日も仕事だったんですが、ほかの配達員は『今週は休みなしか・・・』ってブーブー言ってたんですが、私は『今週は月曜日もあの子達に会える!』って嬉しかったくらいなんです」と、子供のような表情で話されるSさんを見て、私は本当に動物が好きな人なんだなと、強く感じながら話を聞いていました。

 

そして、そこまで話してSさんは「そうやって会える動物の中に一匹、すごく私に懐いてくれてる猫がいるんです・・・」と、ふと表情を曇られたのです。

 

「その猫は野良ちゃんですか?」と私が聞くと、Sさんは無言でうないた後「いつもの時間にその猫ちゃんに会える民家の前を通っても、ここ最近、あまり見かけなくなったなって思ってたんです・・・ところが、今日、久しぶりにその猫ちゃんと会って、口に何かをくわえながら私の方に歩いてきたんですよ・・・」と、Sさんはそこまで言われ黙り込まれたのです。

 

暫し、沈黙があり、私は控え目な口調で「・・・・それが、この仔猫ちゃんだったんですか?」と訊ねました。

 

すると、Sさんは涙を流してうなずかれた後「最初は何をくわえてるんやろと思ったんですが、近くまで来てそれが仔猫だってわかったんです。でも、ちゃんとママ猫が赤ちゃんを運ぶときのように首筋を優しくくわえていたんで、はじめ見たときは生きてる仔猫にしか見えなくて、わざわざ私に見せに来てくれたんだと思い『うわ・・・赤ちゃん産んだんや』って笑って話かけたんですね・・・」と、そのときの状況を話してくれたのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます

 

 

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野村圭一

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