迷い込んだ小鳥の物語~セキセイインコの火葬~
一羽の黄色いセキセイインコが鶴見区のとあるお家に迷い込んできた。
開放していた窓から入ってきたのである。
逃げようともせず、ここが我家かのように羽を休めていた。
インコはその日から「ボブちゃん」と名づけられ家族の一員になりました。
その後、数々の思い出を残し、8年もの年月をその家で過ごしたボブちゃんは永眠の日を迎えました。
一般的にインコの寿命は約8年とされており、ボブちゃんが迷い込んできた時が仮に1歳だったとしても、寿命をまっとうしたと言えるでしょう。
人間でいう大往生です。
小鳥は比較的、ペットとしては小さい部類に入るので亡くなったとき、自宅の庭や花壇、または近くの公園や緑地などに埋葬されるケースが大半ですが、ボブちゃんの飼い主様は火葬してあげることにしました。
それはボブちゃんが生きた証となる形あるもの、つまり遺骨として残してあげたかったからに他なりません。
そんなボブちゃんの火葬を弊社プレシャスコーポレーションにて承ることとなりました。
ボブちゃんはいつも食べていた食べ物とお水。それにたくさんのお花と一緒に小さなケースに寝かされた状態で入っていました。
艶のある羽、深く優しく閉じられた瞼がボブちゃんが安らかな死を迎えたことを物語っていました。
飼い主様より、ボブちゃんを渡され、その旨を聞いた私は、慎重にボブちゃんの火葬を担当させてもらいました。
なぜ慎重かというとインコの骨は細くて脆いため、火力が強すぎては原型が留めないほど散乱してしまい、火力が弱ければ骨以外の部分も残ってしまうからです。
二人のスタッフが付っきりで確認しながら火力を調節し、無事、火葬が済みました。
ボブちゃんの遺骨を火葬炉から出し、その遺骨が崩れないように抱いたまま私は車の助手席に座り、飼い主様のもとにおかえしにあがりました。
悲しみの中でありながら、細部にわたって形を残したボブちゃんの遺骨をみて飼い主様は私に「ありがとう」と言ってくださいました。
ボブちゃんの遺骨は飼い主様の手により骨壷におさめられ、ボブちゃんと同じ黄色の骨壷袋に包まれました。
近年のペットブームの中、自分の意思でペットを買い、飼ったにも関わらず無責任な行動をとられる飼い主様も増えてきている悲しい現状のなか、迷い込んできた一羽の小鳥にこれほどまでの深い愛情をそそがれる人がいたことに私は嬉しく思いました。
偶然ではなく必然。
迷い込んだのではなく、きっとボブちゃんは飼い主様を選んでやってきたんでしょうね。