「悲しき過去」二度 殺される 4
猫が好き。
確かに私は猫に限らず子供のころから動物というか、爬虫類や昆虫も含め生き物が好きでありました。
現在、ペット葬儀のご依頼がある、犬、猫、ハムスター、小鳥、爬虫類も小学生のときには家に居たし、身近な存在になっていたのも事実です。
しかし、ペット葬儀という仕事を通じて知り合った飼い主さんや、プレシャスコーポレーションのスタッフの中には、もっと猫が好きな人間がいますし、それに比べたら私の猫好きなんて、大したことはないなと、日頃から感じることもあります。
そして、Tさんからも猫に対する愛情がとても強いことは、この僅かな時間であっても感じられ、そんなTさんから「猫が好きですか?」と聞かれたとき、少し戸惑い気味に返事をしてしまったのですが、それは、そんな理由からでありました。
その後Tさんが仰った「抱き方」のこと。
抱き方でその人のことがわかると言われたTさんは、そう言われた後、暫しの間、無言になられ、寂しげな表情になられたのです。
不意にTさんが「猫を亡くしたのはこの子が二度目なんです」と言われました。
私は言葉を飲み込むように「・・・はい」と返事をして、Tさんの次の言葉を待ちました。
「正確には三度目なんですが、最初の猫は私が3歳のときに死んだので、記憶はないんです。だから私が世話をしたというか、最初からずっと一緒に居た猫を亡くしたが二度目って意味です。」
そう言ったTさんは少し鼻を啜られるようにされた後「前の子が亡くなったのは2年前なんですけど、口内炎が出来て病院に行ったんですね。最初はお薬だけで治るかなって思ってたんですけど、思ってたより悪いらしく、歯を抜く必要があるって言われて手術することになったんです」と思い出すように言われたのです。
「・・・それで?」
私がそう訊ねると、Tさんは「それで麻酔して手術することになって・・・手術は成功して、その日に帰れたんですけど、なんか家に帰っても元気がなくて・・・まあ手術をした直後だし、こんなもんなんかなって思ってたんです・・・そしたら夜にグッタリしだして、呼吸もだんだん弱くなってきて慌ててもう一回、病院に行ったんですけど、もう閉まってて・・・そのまま・・・病院の前で息を引き取ったんです」と言って、目に涙を滲ませました。
「原因は麻酔だったんですか?」
Tさんの顔を見ながら私は訊ねました。
Tさんは首を傾げ「私もそうかなって思って、次の日に病院に行って原因を調べてもらったんですけど、ちゃんと一定時間に目を覚ましたので、そうではないって言われました。それで、『じゃあなぜ?』って問いただしたんですけど、お医者さんも『これだけはわかりません。色んな悪い要素が重なったとしか言えません』の一点張りで、結局、原因はわからなかったんです」と顔を伏せ、涙を流されたのです。
そんなことがあったんだ・・・
私は心でそうつぶやきながら、無言でうなずくことしかできませんでした。
「病院側は治療費を全額返してくれたんですが、私はお金のことを言うてるんじゃなくて、原因を教えてほしくって、行ったのに・・・そんな対応だったんです。それで法律の専門家にも相談したんですけど、結局はそれ以上、進展はなかったんです・・・」
吐き出すようにそう言ったTさんの表情からは悲しみと無念さが滲んでいたのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
プレシャスコーポレーション
野村圭一
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